カルテックチャレンジ50-50

ホープ軒のニオイVS光触媒

カルテックのチャレンジ、始まる。
しかし設置に大苦戦。

あの金メダリストもホープ軒のファンだった。

2021年9月8日。落合と猪熊は千駄ヶ谷のホープ軒にいた。
光触媒空気清浄機の設置を行う日だ。
豚骨独特の強烈なニオイがどうなるのか。
カルテックのチャレンジがいよいよ始まった。

用意したのは、壁掛けタイプの空気清浄機、計4台。
もともと2階と3階に1台ずつ設置すれば大丈夫だろうと考えていたが、事前視察で体感したあの臭いに圧倒され、厨房の中と外、2台ずつ設置するプランに変更したのだった。

製品を持って訪れた2人に応対してくれたのはお店の番頭格のKさん。
いくら性能をアピールするためとはいえ高価な製品を無償で設置することに不審な目を向けていたという。

「たしかに初対面のときは少し怖かったですが、僕たちが熱心にやっているのを見てだんだん応援してくれるようになった。実際はとても情の熱い人です」と落合は言う。

あいさつもそこそこに、さっそく設置に取り掛かったのだが、困ったのは厨房の中だった。

全面にステンレスが貼ってあり、空気清浄機を引っ掛けて設置することができない。
勝手に穴を開けてフックを付けようものならKさんになんと言われるか。

3階の厨房にはたまたま時計が吊ってあったので、その時計をこっそりはずしてそこに取り付けた。見つからずにホッとした。

しかし2階はどうしようもない。お客さんで混みはじめる11時30分までに取り付けを終えるようにと指示されていたのに、9時から始めてもう2時間以上経っている。
軽量を売りにしているとはいえ、仕方なく空気清浄機を両面テープで貼り付ることにした。

「落ちるかもしれません」
とKさんに相談すると
「大丈夫だよ。厨房の中だからお客さんに迷惑かからないし」
とのことだった。

ところが2週間後、
「落ちたぞー!すぐ来い!」
とKさんから猪熊に連絡が入った。
急ぎ現場に急行した猪熊は床に落下して壊れた空気清浄機を引き上げた。

完全に失敗。
やはり両面テープでは固定が難しいが、かといって他に方法はない。
猪熊はホームセンターを駆け回って「超」がいくつもついてそうな粘着タイプの両面テープを見つけ、これでもかというほどステンレスの壁に貼って代替機を設置した。
9月はまだ暑い。しかも厨房はスープを煮ているので臭いだけではなく湿気もすごい。
製品にも、そして設置する人間にも過酷な環境だ。
猪熊は毎回シャツをビショビショにしながら作業を続けた。

「私はホープ軒とは縁があるように思うんです」と猪熊は言う。
落合がホープ軒の牛久保社長に、猪熊の父は金メダリストの猪熊功だと紹介すると
牛久保社長は
「へー、じゃあ親子二代で来てくれたんですね」
と言ったらしい。

「え、まさか親父もホープ軒に!」

柔道家であり、食生活から何から自分に厳しかった父。
猪熊は父親がラーメンを食べているところをいちども見たことがないという。
「えっ?と一瞬耳を疑いましたが、もしかしたら来ていたのかも、本当に来ていたのだと思うと感激しました。
そしてこのプロジェクトは間違いなく私のミッションであることを実感しました。」

一方、落合は思い悩んでいた。
この4台で成果が出なかったらどうするか。
猪熊が引き上げてきた油でベトベトの空気清浄機を見ながら
このプロジェクトの最終ゴールを思い浮かべていた。

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